デジタル義歯とは?DIGITAL DENTURE

デジタル義歯の利便性と希少性

平成3年 4月2日

まず初めに、現在デジタル義歯は歯科世界の新しい分野です。

これまでの義歯は歯科技工士が、歯科医師が採った型に石膏を注ぎ、人工の歯をワックスで並べ、最終的にはレジンという義歯の材料を化学的に結合させて義歯を作ってきました。これだけで石膏の硬化時膨張、経験の差によって起こる人工歯配列のミス、そして、レジンという義歯材料の収縮が義歯の適合を悪くしてきました。

しかし、デジタル技術が進み、採った型はスキャンされ(誤差なし)、人工歯配列の時間は大きく短縮され、そして、3Dプリント技術や機械切削加工技術により、これまでの手作りのエラーを少なくすことができました。一言で言えば技工精度が大きく変わったということです。さらに、これまで義歯を試しに装着して生活するということがワックスで作った義歯では不可能でした。出来上がった完成義歯を使ってみなければ、成功なのか失敗なのかがわからないというのがこれまでの手作りの義歯の大きな問題でした。安価な3D義歯では、実際に使っていただき、ダメならPC上で直すことが可能になります。みなさんが洋服を買いに行って、”あれを試し”、”これを試し”という具合に、あちらこちらの店で試着しますが、実際に試しに服をきて街を歩くということはできないでしょう。3Dであれば、実際にの仮義歯使ってみて食事をし、人と会い、その時気に入らないところを言っていただければ、修正可能になります。そして、最終義歯に移行していきます。
また、義歯を紛失したという場合も、データがPCに残っているので、即座に再現可能です。
義歯をこれまでの方法で作るとなると最低4回の来院が必要になりますが、その部分をなくすことが可能です。特に老人ホームなどでは痴呆が進み、義歯の紛失はよくある話ですし、東日本大震災の時に、義歯をしないまま、夜中に逃げ出し、その後はずーっと義歯のないままで生活した人などを考えるとデジタルであればすぐに再作製可能になります。
デジタル義歯の利便性と希少性
アナログ製作の様子

アナログ(手作り)製作の場合

  • 石膏が硬化する際に膨張するレジンという材料の収縮によって、義歯の適合が悪くなる
  • 技工士の経験不足による人工歯配列のミス
  • 手作業のため、時間が掛かる
  • 義歯の修正に技工代金が取られる
  • 再度型取りなどが必要になるため、義歯を紛失した際や合わなかった際に不便
  • 試しに装着した状態で生活をすることができない

デジタル義歯の場合

  • 採った型が誤差なくスキャンされる
  • 人工歯配列の作業時間が1/5に削減される
  • 技術の向上により、レジン等の材料による適合の問題が解決
  • 歯科技工士を介さずにPC上での作業が可能なため、調整が簡単
  • PC上にデータが残るため、万が一の紛失の際も再作成が可能
  • 実際に仮の義歯を入れた状態で生活ができ、使い心地等をお試しできる
  • デジタルの環境と設備が必要になる